いつもお世話になっております。新入社員のキリンです。
今年も非常に暑い時期が到来しましたが、皆様夏バテなどされていませんでしょうか。
今回は「新入社員奮闘記」第8弾として、「随時改定」についてお届けしたいと思います。(前回はこちらから)
まずはじめに、私たちが支払う社会保険料は賃金に応じて負担額が決まっています。
毎年4月~6月までの賃金額を基に定期的な見直しが入り、標準報酬月額というものを改定して保険料額が決まります。
これを「定時決定」と言い、算定基礎届を毎年提出する必要があります。毎年7月10日が提出締切の届出作成は社労士の三大業務のうちの一つであり、つい先日私たちも届出作成業務を無事終えました。
一方、今回のテーマである「随時改定」というのは、賃金が昇給や降給等で固定的賃金の変動があった場合、上記の定期的な見直しを待たずに標準報酬月額を改定するものです。
随時改定は、賃金に変動があれば必ず行うものというわけではなく、次の3つの条件全てに当てはまった場合に行います。
①昇給もしくは降給等により固定的賃金に変動があった
②変動があった月から3ヵ月間に支給された賃金の平均月額と、それまでの標準報酬月額の間に2等級以上の差が生じた
③3か月とも賃金の支払い基礎日数が17日以上(特定適用事業所勤務の短時間労働者は11日以上)ある
それぞれについて、もう少し詳しく説明していきたいと思います。
①
固定的賃金とは、支給額や支給率が決まっているものです。下記のようなものが挙げられます。
・昇給、降給
・給与体系の変更(時給から月給への変更等)
・日給や時間給の単価の変更
・請負給、歩合給の単価、歩合率の変更
・住宅手当、役職手当等の固定的な手当の追加や削除、支給額の変更
②
支給額(基本給のほか残業代や通勤手当等を含めた税引前の支給額)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて標準報酬月額を決定し、健康保険料や厚生年金保険料を算出します。
現在の標準報酬月額は、厚生年金保険は1~32等級まで、健康保険料は1~50等級までに分かれています。(参考:令和4年の協会けんぽの保険料額表はこちら)
固定賃金変動後と変動前の標準報酬月額を比べて2等級以上の差が発生しているかを確認します。
ここで注意ですが、残業代が多い月もあれば、少ない月もあるかと思います。ということは、残業代は固定的な賃金とは言えませんよね。
残業代の増減で2等級以上の差が生じた場合でも、残業代は非固定的賃金のため、随時改定の対象となりません。
③
支払基礎日数とは、給与計算の対象となる日数のことを言います。日給制や時給制の方は出勤日数、月給制や週給制の場合は歴日数で計算します。
17日未満の月がひと月でもあれば、随時改定の対象外です。
特定適用事業所(※1)に勤務する短時間労働者の場合は11日以上あれば随時改定の対象となります。
(※1)適用事業所で使用される厚生年金保険の被保険者の総数が、直近1年のうち6カ月以上500人(注:令和4年10月からは100人)を超える場合
月給制や週給制の方の場合でも、欠勤がある月は所定労働日数から欠勤日数を差し引いた日数で計算するなど、いろいろな決まりがあります。
ややこしい!自分で正しく計算するのは難しそう…
そう思われる方も多いかもしれません。
しかし、随時改定や定時決定は、正しい社会保険料額を決定する重要な手続きです。
私たち社労士法人 江後経営は給与計算の他、随時改定に該当しているかどうかのチェックや、該当していた際の届出作成・提出代行もさせていただいております。
お困り事のある事業所様はぜひ一度弊社までお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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