労働保険の年度更新もいよいよ期限が近づいてきました。
【厚生労働省:「労働保険年度更新に係るお知らせ~申告・納付は6/1~7/10までに」】
年度更新とはざっくりいえば”前年度分の労働保険料(労災保険料+雇用保険料)を精算し、新年度分の労働保険料の見込みを立てて概算保険料を計算して申告・納付をする手続”のことです。
自社で計算される事業所様、社会保険労務士に委託される事業所様さまざまでしょうが、計算してみて、または納付書や労働保険料の通知がお手元に届いてこう思われた方も少なくないのではないでしょうか。
「何でこんなに高いの?!去年とそんなに従業員数も変わっていないのに・・・間違ってない?!」
そう思われるのも無理はありません。実はこの2年ほどの間に、雇用保険料率が大幅にUPしているのです!
(厚生労働省リーフレットより)
例えば「一般の事業」では、令和3年度には『9/1000』だった雇用保険料が、令和5年度には『15.5/1000』となりました。
①の労働者負担に至っては、3/1000→6/1000なので倍増ですね。
雇用保険料率は毎年見直しが行われるのですが、平成29年度から令和3年度までの5年間、据え置かれていました。
年金や健康保険に比べると比較的財源に余裕があると言われていた雇用保険事業ですが、コロナ禍における企業や休業者への支援策として「雇用調整助成金」を拡充した結果、雇用保険の積立金が枯渇してきて、雇用保険料率を引き上げざるを得ない状況となってしまったわけです。
「雇用調整助成金」は、下の図でいえば「雇用保険二事業」の「雇用安定事業」にあたります。
※ちなみに「労災保険料率」は平成30年度から変更ありません。
『雇用保険制度の概要』(ハローワークインターネットサービスより)
というわけで最初の話に戻りますと、「高い!」と感じられた労働保険料、決して計算ミスではありません!
コロナ禍がもたらした悲しい影響といえますが、雇用の安定と労働者福祉の増進等、労働者にとってはもちろん事業主にとっても必要な制度となりますので、どうぞご理解の程、よろしくお願いいたします。
参考リンク:「お支払いいただいた労働保険料(労災保険料・雇用保険料)の使用用途について」(厚生労働省)